うさぎの草むしり堂
主にオンラインゲーム(ラグナロクオンライン等)と日常についてつづられています。
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ブログ限定小説:Snow Sky
第二幕 降り続く夢の雪



降り注ぐ雪は長い時間をかけて目に映るものを白く染めていく――――

なのに光が当たるとそれは少しずつ溶けていき

やがて消えていく――――

溶けた雪は元には戻らない――――

どんなに冷たくしてもどんなに願っても

もう二度とその姿を作る事は出来ない――――

あなたは溶けていくボクを必死になって助けてくれた――――

なのに――――

あなたが溶けていく姿を見てもボクは何も出来ない

ただ――――

何も出来ない自分の無力に心が壊れていくだけ―――

雪はやがて水になってどこかに消えてしまうのと同じ――――

ボクもあなたの前から、あなたもボクの前から消えてなくなるのかな――――










 雪が振る毎日。
 時々、青空が見えてもすぐにまた白い雲がその姿を隠していく。
 ベットから起き上がることが出来て、体のケガも治ってから何日か過ぎた。
 なんでもない毎日の中でボクは今日もみかど様の横で本を読んでもらっていた。
 みかど様は会社の社長さんをしているからいつも一緒にいるわけはないけれども、時間があるときはこうして本を読んでくれていた。
 
「失礼します」

 本を読んでもらっていると桜さんの声が聞こえてきた。
 決まった時間になると桜さんが飲み物とお菓子をもってきてくれた。
 桜さんの淹れてくれる紅茶はすごく美味しく、お菓子も自分で焼いたクッキーやパンなどで美味しかった。

「今日はどのような本をお読みなのですか?」

 丁寧な手の動きで紅茶をカップに入れてボクとみかど様に渡してくれた。

「今日はうさぎとカメの競争だよ」
「まぁ」

 少し驚く桜さんはすぐに微笑む。
 両手でカップを持って、紅茶を飲むボクを二人は優しく微笑んでくれる。

「月姫様といらっしゃる時の帝様は楽しそうですね」
「うん。月姫がいてくれるから会社で嫌な事があっても我慢できるよ」
「あらあら」

 二人の話は難しいからボクにはわからなかったけれど、みかど様が笑ってくれているのならボクも嬉しくなる。

「でも、月姫様がいらっしゃってから帝様はあまり考え込むお姿はお見受けしなくなりましたね」
「そうかな?」
「そうなのですか?」

 二人の話にボクは口をはさんでしまった。

「あっ――――。すいません――――」

 話を止めてしまって申し訳なく思った。

「謝る事はないよ」

 みかど様はそう言ってボクの髪を撫でてくれる。
 いつ撫でられても気持ちいい。

「で、でも――――」
「うん?」
「お体だけは大切にしてください」

 恥ずかしく思いながらも、みかど様の事が心配だから言った。

「ありがとう。月姫がこうしていてくれるだけで安心するから」
「みかど様――――」

 そう言われるとなぜか胸の辺りが苦しくなる。
 でも、不思議な気持ちになる。

「そういえば、桜さんから聞いたけど『様』ってつけられるのが嫌なの?」

 その事にボクは頷く。
 みかど様に拾われてから何日か過ぎた今でも、みかど様以外の人、桜さんやこのお屋敷で働いている人たちから「月姫様」と呼ばれている。
 何度かお願いしたけれども、結局誰も聞いてくれないので不安に思っていた。

「月姫様は帝様の大切なお方です。それを呼び捨てなどにはできませんわ」
「で、でも――――、ボクは自分のことがわからないのに、こうしていさせてもらっているだけだから――――」

 今着ている服、毎日食べさせてもらっているご飯などに対しても何も言う前に準備されていて、ボクはどうしたらいいのかわからないまま、回りの人たちに任せるしかなかった。

「それはお気になさらなくてかまいませんわ」
「で、でも――――」
「私は月姫様がこのまま帝様の奥様になっていただきたいとも思っているぐらいです」
「さ、桜さん」

 みかど様は慌てて桜さんに声をかけた。

「あら、私だけではありませんわ。他の皆様も同じ事を思っていますから」

 どこまでも嬉しそうに桜さんはみかど様に言う。

「まぁ、それは月姫にも聞かないといけないことだし、今はこのままが一番だよ」
「そうですわね」

 二人はそう言ってまたボクに微笑みを向けてきた。
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