うさぎの草むしり堂
主にオンラインゲーム(ラグナロクオンライン等)と日常についてつづられています。
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ブログ限定小説:Snow Sky
第一幕 夢から始まる物語(4) 



 目を覚ましてふとんから顔を出すと、窓からは眩しいぐらいの光が差し込んでいた。
 
「目が覚めたみたいだね」

 その声のだどっていくと、あの人がいた。

「何度か起こしたけど、起きなかったからそのまま寝かせてあげてたら朝になってたよ」

 そう言いながら手を伸ばしてきてボクの髪を優しく撫でてくれた。

「ずっと――――」
「うん?」
「ずっと――――起きていたのですか?」

 まさかそんな事はないと思っていたボクはその人の答えを聞いて驚いた。

「いつ目が覚めるかわからなかったから本を読んでたよ」
「ほん――――?」
「うん」

 ずっとボクが起きるのを待っててくれていたんだと思うと、不思議な気持ちになった。
 胸の辺りが落ち着かない――――そんな感じだけどなんなのかわからなかった。

「朝ごはんになっちゃったけど、食べれそうなら食べる?」

 その人は近くある棚から白いお皿にのせた小さな白い『何』かをボクに差し出してきた。
 何なのだろうかとじっと見ていると、「おいしいよ」と言ってきたので両手にとってゆっくりと口の中に入れていった。

 何度か噛んでいくと、不思議な味がした。
 『それ』を1個食べ終ると、それがおにぎりだったことを思い出した。

「もう1個食べる?」

 ボクは頷いてもう1個のおにぎりをもらってゆっくりと食べた。
 その人も残っていた1個のおにぎりを食べた。
 2個のおにぎりを食べておなかいっぱいになったボクは手についているおにぎりの粒を口でとった。

「私が握ったから味が不安だったけど、美味しかったかな?」
「あ、はい――――。すごく美味しかったです」
「よかった」

 嬉しそうにその人は微笑んでくれる。
 それがまたボクも嬉しくなって同じ気持ちになった。
 
「体の方は痛みとかはもう消えた?」

 お皿を片付けながら、その人はボクの体のことを聞いてきた。

「まだ――――少しだけ痛いです――――」
「じゃあ、今のうちに体を拭いていたほうがいいね」
「?」

 どうして体を拭くのだろうとボクが思っていると、入り口から何か音が聞こえた。

「失礼します」

 そう言ってドアが開いて女の人が入ってきた。

「彼女にお願いして、月姫の体をきれいに拭いてもらおうと思ってね」
「?」

 まだ何がどうなっているのかわからないボクを横に、その人と女の人は何か話していた。

「それでは失礼しますね」

 女の人はそう言って一度出て行ってからすぐ何か入れ物を持って帰ってきた。
 そして、棚にその入れ物を置いてから、タオルを入れていった。

「私は外に出ているから終わったら呼んでね」
「かしこまりました」

 女の人はその人に丁寧な言葉を使っているなぁと思った。
 でも、知らない人と二人になるのは嫌だったのでその人を引きとめようと手を伸ばして服をつかんだ。

「いて――――ください」

 ボクはその人がいないと不安で仕方なかった。
 
「うーん、それはできないよ」

 あっさりとボクのお願いを断られた。
 わがままばかり言っていたから嫌になったのかと思った。

「別に悪気があってじゃないよ。ただ――――」

 どこか困ったような顔をするその人は、女の人のほうを見た。
 
「それでは殿方が困るのですよ」

 その人と同じように優しく女の人が言う。

「どうしてですか――――?」

 何が困るのだろう。
 ボクは自分の体を見られたからといって何も恥ずかしいものはない。
 ただ、その人が近くにいてくれないと不安で体が震えてしまう。
 それだけなのに、どうして困るのと不思議に思った。

「月姫が女の子だからだよ」
「あなただって――――」

 続けようと思ったけれどもそれよりも早く女の人が話してきた。

「この方はこの家の主様で、雪代帝様といいましてれっきとした男性ですよ」
 
 女の人がそういう言っても、その人は男の人には見えない。
 だんだん頭が混乱してきたボクをその人は困ったようにこう言った。

「そういうことだよ。私にはきちんと名前もあるしここが自分の部屋だってこともきちんとわかってるよ」

 目が覚めた時に言ったことはウソになるということなのに、ボクはそこまで理解できなかった。

「騙してごめん。でも、そうしたほうが月姫も安心するからって言われたから――――」

 そう言って頭を下げるその人にボクは何をどういえばいいのかわからなかった。

「とにかく、話は後でしよう。今は彼女に任せて」
「はい――――」

 そう言うのだからそうしようとボクは思い、その人が出て行くのを不安に感じながら見送った。
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