うさぎの草むしり堂
主にオンラインゲーム(ラグナロクオンライン等)と日常についてつづられています。
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ブログ限定小説:Snow Sky
第一幕 夢から始まる物語(3) 


「目をあけてごらん」

 髪をといてくれている間、ボクは目を閉じていたのでゆっくりと言われたとおりにした。
 目の前にはおでこに包帯、ほっぺたに白いガーゼ、ひと目で大ケガをしていますって言われてもおかしくないそんな姿にボクは消えていた怖い感じが出てきそうになった。
 それを振り払うかのようにボクはその人の方を向いた。

「正面からはわかりずらいね。少し顔を横に向けてみて」

 言われるままに顔を少し横に向けて鏡の中の自分をもう一度見た。
 すると何かが髪についていた。
 それが何なのかとその人に顔を向けると、優しく微笑んでくれながらボクが聞きたいことを答えてくれた。

「せっか、こんなにも長いくてきれいな髪をしているんだから、少しはオシャレしたほうが可愛いと思ってね」
 
 その人はボクから鏡をとり、ボクの髪を手にしてじっと見つめていた。
 ボクは少し困った。
 目が覚めてからどれぐらい過ぎたかわからないけど、そこまで気にすることもなかったのにこの人はボクの髪をきれいだと言ってくれる。
 でも、ボクはきれいなのかどうなのかわからない。

「本当に――――」
「うん?」

 本当に言っても仕方ないと思っていても聞きたかった。

「本当に――――きれいですか――――?」

 こんなことを言うとまたこの人に迷惑をかけてしまう。
 安心できるからといって何を言ってもいいなんてことはないのに、言ってしまう自分が情けなく思えた。
 その人も驚いているのか、笑顔が消えてボクをじっと見てくる。

「あ、あの――――」
「うん、きれいだよ」

 ボクが謝るより早く、この人は優しく答えてくれた。
 たったそれだけのことなのにボクは嬉しくなった。

「ほ、本当――――ですか?本当にきれいなのですか?」

 嬉しくてつい、体に力を入れてしまって痛みがやってきてベットに倒れてしまった。

「だ、大丈夫?」
「す、すいません――――」

 心配させてはいけないと思って、笑って見せるとまだ心配そうにボクを見ていた。

「本当に大丈夫?」
「はい。あなたに言われて嬉しくって――――」
「まだ体の傷が治っていないんだから無理はしたらだめだよ」

 ボクは小さく頷いた。
 ふとんをかけてもらっている間、ボクはこの人に言われた「きれい」っていう言葉を繰り返し心の中で繰り返していた。
 
「寝ているときははずさないと髪をいためてしまうからはずしておくね」

 その人の手が伸びてくると、

「あっ――――」

 と、声が漏れてしまって、それが聞こえたのか手を止めてボクを見る。

「どうかしたの?」
「えっと――――」

 何て言えばいいのか、わからなくなってふとんの中に顔を沈めながら勇気を出してこう言った。

「ま、まだ寝ませんから――――付けておいてもいいですか?」

 今日はいろいろと言ってこの人を困らせていた。
 自分がこんなにもわがままだったと思うと恥ずかしくなるばかりだった。

「じゃあ、眠たくなったら教えてね。そのときははずしておくから」
「はい――――」

 わがままのボクを優しく接してくれるこの人がどこまでも嬉しく感じる。
 
「まだ雪が降っているね」

 言われるままにボクも窓を見ると、小さな粒が窓に当たっては水滴になって消えていってた。

「寒くはない?」

 その人はボクの髪を撫でてくる。
 手の温もりを感じるボクは「はい」と答えた。

「あなたは寒くないですか?」
「大丈夫だよ。寒いのには慣れているから」

 またどことなく寂しそうに微笑むその人をボクは言葉を続ける事が出来なかった。

「そうだ、何か食べたいものがあるなら持ってくるけど?」

 眠る前にうさぎさんのリンゴを食べただけなので少しだけお腹が減っていた。

「何か欲しいものはある?」
「なんでもいいです――――」
「そう?じゃあ、何か適当に持ってくるね」

 そう言ってその人はベットの端から立ち上がり部屋を出て行った。
 ドアが閉まると急にさっきまでの安心感が消えて、怖く感じ始めた。
 戻ってくるまでふとんの中に隠れていようと思って、ボクは頭からふとんをかけて『何か』から隠れるようにあの人が戻ってくるのを待った。
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