うさぎの草むしり堂
主にオンラインゲーム(ラグナロクオンライン等)と日常についてつづられています。
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ブログ限定小説:Snow Sky
 第一幕 夢から始まる物語(2) 


 怖い感じが消えて、ボクはその人に支えられながらベットにか体を寝かせた。
 その間、ボクは名前すら思い出せないうえ、どうしてケガをしているのか分かるはずがなかった。

「大丈夫だよ。私が一緒にいてあげるから」

 ボクの髪を優しく撫でてくれるその人は微笑んでいた。
 どうしてこんなにもどこの誰だか分からないボクに優しくしてくれるのだろう――――。
 それを口にできずに、ボクはその人に撫でられることに安心感を覚えていった。

「そうだ」

 何かを思い出したようにその人はボクの髪から手を離して、ベットの横にある棚から果物を取り出した。

「何日も眠っていたからお腹減ってない?」

 そう言われるとボクのお腹は急に音を立てた。
 恥ずかしくなって、ふとんの中に顔を沈めていきながら頷いた。

 シャリシャリシャリシャリ――――

 小さな刃物でその人はリンゴの皮をむいていた。
 その様子を見ていると、ずっと昔に同じようなことあったのでは思った。なぜそう思ったかはボクもわからなかった。
 そして、今、ボクが自分なりに考えて分かっていることは、自分の名前が思い出せない、目の前でリンゴをむいている人は優しくて安心できる人、そして理由もわからずケガをしてここがどこか建物のベットだということだけ。


「はい、できたよ」
 
 ボクの考える時間は終わり、目の前にはリンゴが6個、白いお皿にきちんと並べられていた。
 不思議に思ったのは、どのリンゴにも変な形で赤い皮の部分が残っていた。

「どうかしたの?」

 その人の声にボクは顔を上げた。

「これ――――」
「あぁ、これね」

 どこかおかしそうに笑うその人をボクはどうしたのだろうと思った。

「もしかして見るのは初めて?」
「はい――――」

 リンゴなのはわかるけど、どうして皮を変な形に切って残っているのかわからなかった。

「何かに似てない?」

 そう言われると、ボクはじっとそのリンゴを見つめた。

「あっ」
「わかった?」

 その人は優しく言うのでボクは頷いた。

「うさぎさんです」
「うん、正解」

 どれも同じ形ではないけれども確かにうさぎのような感じがした。
 でも、どうしてうさぎさんの形にリンゴを切ったのだろう?

「さっき、すごく震えていたからこれを見て少しは安心してほしくてね」

 その人はそう言いながらリンゴのうさぎさんを1個手にしてボクの口の前に持ってきた。
 お腹がすいているせいか、リンゴのうさぎさんを一口食べた。
 何度となく噛んで形がなくなる前に飲み込んでいくと、甘い感じが口の中に広がっていき気持ちがよかった。

「おいしい?」
「はい――――」

 その人も微笑んでくれてリンゴをボクに渡してもう1個のリンゴのうさぎさんを食べた。
 何も話すことなく、ボクとその人はリンゴのうさぎさんを美味しく食べた。
 6個あったリンゴのうさぎさんもなくなり、ボクはまたベットで横になっていた。

「少しは落ち着いたようだね」
 
 髪を撫でてくれるその人にボクは頷くだけだった。

「あとで髪をくしでといてあげるね」
「はい――――」

 温かな手がボクから怖いって思うことを消してくれているみたいで、もっと撫でてもらいたかった。

(もし名前があればそれを呼んでくれるともっと安心するのかなぁ)

 名前がないのはすごく不自由な気がした。
 思い出せないから仕方ないけど、名前があったほうがいい。 

「名前――――」
「うん?」
「名前――――決めて欲しいです」

 何をいっているのかわかっているはずなのに、緊張して体が強ばった。
 自分で思い出すまででもいい、この人が決めた名前で呼ばれていたい。

「名前ないと――――いやですから――――」

 無理なお願いをこの人にするのはこれだけだから決めて欲しい。
 答えを待っていると、その人は微笑みながら小指をボクの額にあてた。

「本当にいいんだね?」
「はい――――」

 いよいよ名前を付けてくれると思うとどきどきしてきた。

「お月様の月とお姫様の姫で月姫なんてどうかな?」
「つき――――ひめ?」
「ありきたりな名前よりも何か特徴のある名前の方がもしかしたら本当の名前を思い出すことが出来るかもしれないからね」

 つきひめ――――。
 この人がボクに付けてくれた名前――――。
 頭の中でその言葉を繰り返した。

「私はキミがお姫様じゃないかなあって思っていたりしてるんだ。だから月姫っていうのはどうかなあって」

 お姫様かどうかはボクにもわからない。
 でも、この人が付けてくれるのなら嬉しくって素直に受け入れる事が出来た。

「つ―き―ひ―め―」
 
 ゆっくりと名づけてもらった名前をささやくと、急に胸の中が軽くなっていくように思えた。

「気に入ってもらえたかな?」
「はい」

 ボクの本当の名前ではない名前。
 だけど、ボクにとって何よりも大切な宝物。
 この人にとってはボクは本当のボクではなく「月姫」として一緒にいられたらと思わずにはいられなかった。

「よかった」

 そう言ってまた髪を優しく撫でてくれた。
 でも、さっきまでの微笑みとは少し違ってどこか寂しそうにも思えたが、髪を撫でてくれた瞬間にそんなことは忘れてしまった。
 
 そして、いつしかボクはまた眠りの中に安心感を持ったまま入っていった――――。
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コメント
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゚+.゚(*´∀`)b゚+.゚イィ☆

リンゴをうさぎさん形にむける、男の方って素敵( *´艸`)
2007/01/31(水) 23:36:06 | URL | byメル (#A1vz8dvw) [ 編集]
 実はまだ『その人』が男性なのか女性なのかはわかりませんよ~w
 うさぎさん形って実際すると結構むずかしいものですよw
2007/02/01(木) 09:38:13 | URL | byシフォン・リーナ (#-) [ 編集]
管理人のみ閲覧できます
このコメントは管理人のみ閲覧できます
2007/02/01(木) 10:04:54 | | by (#) [ 編集]
ガ━━(゚ロ゚*(゚ロ゚*(゚ロ゚*(゚ロ゚*(゚ロ゚*)━━━ン!!!
決まってないのですかっ。
もぅ、脳内で、男の人になってましたil||li _| ̄|○ il||li
2007/02/01(木) 18:09:40 | URL | byメル (#A1vz8dvw) [ 編集]
メルちゃん>あははは^^;
        まあどうなるかは小説内の主人公たち次第ですねw
        まだまだ序盤ですからこれからの展開を楽しみにしていてください♪
2007/02/02(金) 10:56:11 | URL | byシフォン・リーナ (#-) [ 編集]

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