うさぎの草むしり堂
主にオンラインゲーム(ラグナロクオンライン等)と日常についてつづられています。
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1?3 知られる恐怖
 アコライトの『ユーリ』と知り合ってからボクは少しだけ人と話すようになった。
 といっても彼女が話し掛けてくることに対して「うん」「そうだね」「そう」そういった簡単な受け言葉だけだった。

 会話を楽しむどころかなぜ彼女といるのかよく不思議に思う。
 彼女は狩りをするときはいつも支援を重点的にしていた。
 そのおかげもあって今までにないほどのスピードでボクの狩りは順調に進んでいく。
 
【少し休憩しませんか?】

 二時間ほど狩りをしたあとボクたちは首都のベンチに座った。
 ゲームなのだからどこに座っても同じだと言うと、

【こういうところだからこそ、ベンチとかに座りたいんです】

 変なところにこだわるとボクは思った。
 パーティーを組む時はいつも彼女が作ってくれてその中にボクは入っている。
 だから忘れがちになることもある。

 経験値はきちんと入っているのだろうかということだった。
 公平にしなければ経験値を独り占めしてしまうことを彼女は気付いているのだろうか。

【大丈夫です。こう見えてもあなたとほとんどレベルは変わりませんから】
【じゃあ、どうして転職をしないの?】

 一定のジョブレベルが上がれば誰でもその職の上位職になれるはずなのに彼女はずっとアコライトのままだった。

【約束みたいなものでしょうか】
【約束?】

 彼女の友達もこのラグナロクをしていたことを話した。
 始めてプレイした彼女とその友達はいつも一緒に遊んでいた。
 だが、現実世界でその友達は遠くに引っ越していったらしく、それ以来何一つ連絡もなくなってしまったらしく、一緒に転職をしようと約束を頑なに守っていた。

【いつかこの世界に戻ってくる時まで転職はしないと決めているんです】

 友達思いなんだとボクは彼女を見た。
 そんなことを思えるほど仲の良い友達なんてボクにはいなかった。
 友達だと思っていても相手は嫌そうな顔をしたり影で文句を言っていたことを何度も聞いたり見たりしていた。

【シンはどうして一人でプレイするのですか?】

 この世界で初めてボクの名前を呼ぶ彼女の問いにすぐに答えられなかった。
 目の前を何人もの人が通り過ぎていく。 
 その様子は現実世界とはまったく違っていた。

【現実世界だとボクはずっと一人だった。誰も助けてはくれない。誰も近づいてこない。だからボクから行くとみんな逃げていく。一緒のクラスだってことだけで嫌がられ、人間扱いをされなかった】

 淡々と話しているボク。

【この世界を知って何気なく始めて、誰も自分の事を知らないんだって思っていた。でも、現実世界の話をしているのを聞いたら、もしかしたらボクの存在に気付いてまた何か言われるのではって思うと急に恐くなって今まで一人でいた】

 そうすれば誰にも気づかれることなく自分なりに楽しめるのだと言い聞かせていた。
 彼女はただうなずくだけでボクの話を聞いていた。
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