うさぎの草むしり堂
主にオンラインゲーム(ラグナロクオンライン等)と日常についてつづられています。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
ブログ限定小説:Snow Sky
第三幕 消え行く雪の幻想 (2)

 ずっと暗い中でボクは何をすることなくいた。
 声を出すことも指を動かすことも感じられない。
 このまま消えてしまうのだろうかとふっと思うと、体中が消えていくような感じがしていく。
 何もないただ、暗い中でボクは「浮いている」と、どこからか何か聞こえてくる。
 でも、それが何なのかわからない。

『――――め』

 声は少しずつボクに近づいてくる。

『つ―――ひ――――』

 どこかで聞いた事のある声がボクの耳の中に入ってくる。

(だれ――――?)

 声にしたはずなのに声が聞こえてこない。

『つき――――め』

 耳元に響くように誰かの声が聞こえてくる

『つきひめ』

 つきひめ――――?
 誰かを探しているのだろうか?
 ボクではない誰か別の人を探してあんなにも声をだしているのかなぁ。
 それならもう少し静かにしてほしいなぁ。
 そう思った瞬間、何かがボクを捕まえてきた。

「月姫!」

 目をあけるとそこには誰かの顔があった。

「み――――か――――ど?」

 口にしたその言葉でボクはようやく目の前にいる人が誰なのかがわかった。
 今にでも泣きそうな顔をしているみかど様と、その後ろにいるのはほとんど泣いている桜さんがいた。

「よかったです――――本当に」

 桜さんは涙をこらえきれず泣いていた。
 みかど様を見ると、いつもの優しい笑顔ではなくどこか辛そうな顔をしていた。
 そして、二人がどうしてこんなに泣いているのか思い出した。

「ボク――――」
「何も言わなくてもいいよ」

 そう言ってみかど様はボクを抱きしめた。
 ボクもみかど様の背中に手を回して離れないようにぎゅっと抱きしめた。

「ごめんなさい――――」
「謝らなくてもいいよ。今はこうしていてくれるならそれでいいから」

 みかど様はボクを強く抱きしめてくる。
 胸の辺りが温かくなってくるのがわかる。
 ボクのことを本当に心配してくれているみかど様に対して何か言わないといけないように思えた。

「みかど――――」
「うん?」
 
 ぎゅっと抱きしめられたままボクはみかど様に声をかけた。

「ごめんなさい――――」

 なんていえばいいのかわからないので謝る事しか出来なかった。

「謝らなくていいよ」

 本当は別のことをいうつもりだったのに謝ってしまったボク。
 何て言えばいいのかわからないけど、今はこうして抱きしめられていたい気持ちで一杯だった。

 それからボクはしばらくしてから桜さんに体を拭いてもらった。
 七日ほど眠っていたと聞かされたときは驚いたけれど、もっと驚いたのはお仕事を休んでずっとみかど様がボクを診ていてくれていたことだった。
 満足にご飯も食べず寝ることもほとんどしないでずっとボクのそばにいてくれたと桜さんは少し寂しそうに言った。

「桜さん」
「はい?」

 着替えを済ませてボクをベットに寝かしてくれる桜さんにボクは声をかけた。

「ボク、どうしたらいいのですか?」
「何がです?」
「みなさんにたくさん迷惑かけて、みかど様にもお仕事を休ませてしまってすごく申し訳ないです」

 いくら慣れ親しんできているとはいえ、やっぱりボクはただ居させて貰っているだけだから迷惑をかけていると思った。

「そのことはお気になさらなくても構いませんわ」
「でも――――」
「今は、何も考えないでゆっくりとお体をいたわってください。みかど様もそのことをお気になさっていますから」

 桜さんはそう言ってボクから離れていき、部屋のドアを開けて出て行った。
 一人になると部屋の中は急に静かになった。

(ボクはどうしたらいいのかなぁ――――)

 そんな事を思いながらボクはいつのまにか眠ってしまった。
スポンサーサイト




コメント
▼この記事へのコメント<(あれば表示)

■ コメントを投稿する
URL:
Comment:
Pass:
秘密: 管理者にだけ表示を許可する
 
トラックバック
この記事のトラックバックURL

▼この記事へのトラックバック(あれば表示)
上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。