うさぎの草むしり堂
主にオンラインゲーム(ラグナロクオンライン等)と日常についてつづられています。
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ブログ限定小説:Snow Sky
第三幕 消え行く雪の幻想



 雪――――
 雪はどこからきてどこへ消えていくの――――

 ボクは雪と違ってどこにも消えないはずなのに
 どうしてこんなにも透き通っているの?

 温かな日差しなんていらないのに、溶けてしまうのにどうしてあなたは雪に手を触れさすの?
 ボクはもうあなたにとって必要のないものなの?

 その答えを知るには時間は短すぎる
 冬が終わり雪が消えていくときボクの記憶はあなたから消えていくの?

 冷たいだけの記憶がボクの心を凍らせていく
 あなたという日差しをどれだけ輝いて溶かしてくれてもボクごと消えてしまう

 あなたにとって雪はなに?
 私にとって温かな日差しはなに?

 もう忘れてしまった―――――










 どれぐらい時間が流れただろう。
 ボクがこのお屋敷に来てからずいぶんと長い時間が過ぎたように思えた。
 記憶は何一つ戻る事もなく、時々自分が記憶を失っている事を忘れるぐらい毎日が楽しかった。

「今日は早く帰れるから一緒に夕食を食べようね」

 お仕事に行くみかど様をボクと桜さんはいつもお見送りをしていた。

「あ、明日こそはお料理がんばります」
「楽しみにしているよ」

 そう言ってみかど様はボクの髪を撫でて出かけていった。
 この頃、ボクは桜さんにお願いしてお料理を始めた。
 何か一つでもみかど様に喜んでくれるものがあったらいいと思って桜さんに無理なお願いをすると、料理をしてみてはと言われて教えてもらっていた。
 しかし――――
 何もかもが初めてだから失敗の連続。
 包丁の持ち方一つからしてボクにとっては難しいものだった。

「あせらなくてもかまいませんわ。一つ一つしっかり覚えていきましょう」

 桜さんに励まされながらボクは少しずつだけどお料理ができるようになっていった。
 今日だって、少し焦げたけれど玉子焼きと少しこげたパン、形がばらばらなサラダ、かなり濃い紅茶を出したけれどみかど様は「美味しいよ」と言ってくれた。
 それが嬉しくてボクも一緒に食べると、何ともいえない味だった。
 みかど様は無理をして食べているのではないかと思ったけれど、「そんなことはないよ」と言ってくれた。

「つ、次は頑張ります」

 こんなに一生懸命になってお料理をするのも楽しいものだった。
 
 後片付けも桜さんにお願いしてやらせてもらい、泡だらけになりながらお皿などと洗った。
 毎日が楽しくこれからも続いていくものだと思っていた。
 
「それではお茶をお持ちしますね」

 片づけを終わらせて自分の部屋に戻ったボクに桜さんはお茶の用意のため出て行った。
 ベットの上に疲れた体を沈ませて桜さんが戻ってくるまで静かな時間が流れると思った。

「はぁ」

 その瞬間、胸の辺りが急に痛くなった。
 何がどうなったなんているのかわからない。
 でも、苦しいことには変わりなかった。
 体中にも痛みが走ってきて我慢できず、

「はぐっ――――」

 たぶん悲鳴がボクの口からこぼれた。
 体中が震えだし、痛みも限界を超えそうになった。

(もしかしてこのまま死んでしまうのだろうか――――) 

 そうなったらみかど様や桜さんたちに会えなくなる。
 怖いと言う気持ちが膨らんでくる。

「い、いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

 ベットから転がり落ちでも痛みや恐怖は消えることなく増していくばかりだった。

「月姫様!」

 誰かがボクに近づいてくる。
 激しく体を震わせているボクをつかんで押さえつけようとしていたが、ボクはそれを振り払うように体を揺らした。

「月姫様、しっかりなさってください。月姫様」

 桜さんの声が聞こえてきた。

「さ――――くら――――さ――――」

 助けてってと言おうとしても痛みのせいで言葉がほとんどいえない。
 体が引き裂かれるような痛みが時間が過ぎていくほど増えていっているような気がした。

「あぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁっ」
「月姫様!」

 もう何がどうなっているかボクにはわからなくてただ、悲鳴を上げることしかできなかった。

 どうしてこんなに苦しいの?
 どうしてこんなに怖いの?

 震える体、痛みが広がっていく体、何もわからなくなっている意思――――。
 ボクはもう一度大きな悲鳴を上げて目の前が真っ黒になった。


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