うさぎの草むしり堂
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ブログ限定小説:Snow Sky
第二幕 降り続く夢の雪 (3)



 その日の夜。
 桜さんと夕食をしてからお風呂に入って、早い時間からベットに入った。
 みかど様が戻ってくる時間はまだ3時間ほどあったのでその間に睡眠をとることにした。

「お戻りになるまえに起こしますのでそれまでゆっくりお休みくださいませ」

 部屋の明かりを消して桜さんが出て行った。
 久し振りにみかど様と会えると思うと嬉しくてなかなか寝付けず、窓の外を見ると闇がどこまでも続いているかのように思えた。

(ずっとここにいてもいいのかなぁ――――)

 ボクを受け入れてくれたみかど様や桜さん、それにお屋敷の人たちはボクに良くしてくれる。
 居心地がいいといえばいい。
 でも、それだけに不安な部分もある。
 何もしないということに対しての不安、自分が未だ誰なのか思い出せない不安。
 こうして暗闇の中で一人起きていることが怖い時がある。

(みかど様ならボクの不安を消してくれるのかなぁ――――)

 それはある意味、ボクの願望のように思えた。
 そしてボクはみかど様が戻るまで眠っていようと目を閉じた。


『絶対約束だからね』

 どこからか男の子の声が聞こえてきた。
 よく見ると、目の前で傷だらけの男の子が鼻をこすりながら笑っていた。

『苛める奴がいたら僕は守ってあげるから』

 男の子がそう言う。
 よく知っている男の子。
 子供の頃に何度か遊んだ事のある男の子はいつもボクを守ってくれていた。
 何度もケンカをして自分がケガをしてもボクを守ってくれた。

『泣くなよ』

 いつまでも泣き止まないボクを傍でいてくれた男の子は必ずアメを1個くれた。
 甘いのに涙が口の中に入ってきてしょっぱい。

『美味しい?』

 いつも同じ味のアメだから何も言わずに頷いた。

『僕も食べようっと』

 そう言って男の子はポケットからアメを取り出して口の中に放り込んだ。

『甘いや』

 笑う男の子を見てボクも泣くのをやめて同じように笑おうとした。
 けれど、どうやったら笑えるのかわからなかった。
 ずっと苛められているから笑うことが出来なくなっていた。
『あいつらもしつこいよな』
 
 そう言いながら血が出ているところをなめていた。
 男の子と知り合ってまだそんなに時間が過ぎてないはずなのにいつの間にかボクと遊んでくれていた。
 誰からも苛められていたボクをかばってくれただけなく、何をするにしても一緒にいてくれた。
 泣く事しか出来ないボクなのにいつも優しく、髪を撫でてくれる。

『そうだ』

 男の子は急に大声を上げた。

『今度、僕の家に遊びにいおいでよ』

 男の子はボクの手を握ってくる。

『たくさんお菓子もあるし、庭だって広いからいろんな遊びができるよ』

 初めてそんな事を言ってくれた。
 でも、ボクはどう答えたらいいのかわからない。
 だから――――、

『アメもあるの――――?』

 いつもくれるアメもあるのかと思った。

『あるよ。たくさんあるから二人で食べよう』

 ボクは嬉しくなった。
 いつも助けてくれるこの男の子の優しさが弱いボクの心を助けてくれていた気がする。
 自然とボクは

『うん』

 と答えた。
 男の子はまた笑顔になって頷いてくれた――――。


 気がつくと、誰かが近くにいるように思えた。

「起きた?」

 部屋の明かりがついているのか明るかった。
 そして目の前にみかど様がいた。

「おはよう、月姫」

 そう言ってボクの髪を優しく撫でてくれた。
 
「よく眠っていらっしゃいましたのでそのままにと帝様に言われまして」

 申し訳なさそうに桜さんが言ってくる。
 そういえば、二人でみかど様を驚かせようとしていたにどうしてみかど様が目の前にいるのだろうと考えたけれど、何気なく窓の外を見ると明るかった。 
 答えは簡単だった。
 朝まで眠っていたみたいだった。

「さぁ、ひさしぶりだから一緒に朝ごはんを食べよう」
「は、はい――――」

 ボクは体を起こして眠い目をこすりながらみかど様に改めて「おはようございます」と言った。
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