うさぎの草むしり堂
主にオンラインゲーム(ラグナロクオンライン等)と日常についてつづられています。
スポンサーサイト
上記の広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。
新しい記事を書く事で広告が消せます。
2?3 迷いの中にある微かな光り
 本当の友達というものは簡単にはできない。
 その理由として一番にあげられるのは、相手のどこか一つでも目に付けばそこから不信感というものは広がっていくものだから。
 私が独りぼっちになっても誰も気にかけてくれる人なんていなかった。
 気にされたくなかった。
 でも、寂しさはぬぐいきれなかった。
 笑っていればどんな不幸も飛んでいってしまうなんて簡単に言う人もいるけれど、本当にそうなればどれだけ嬉しかったことだろう。

 このまま裏切られることを恐れて何もしないでいる時間が私には何よりも恐ろしかった。
 そして気付いたらその恐怖から逃げるようにしてシンと出逢った。
 リシェルさんやマリさんとも出逢えた。
 そして、気がつけば大切な友達になっていた。
 難しく考えていた私が知らないうちにこんなにも大切な友達が出来るなんて思いもしなかった。

【友達なんていうものは喧嘩して当然よ】

 そう言って笑うリシェルさん。

【喧嘩ばかりじゃあないですよ。一緒にくだらないことでも笑いあえたり、お互いの悩みを相談し合える、それらをすべてひっくるめて友達って言うと思いますよ】

 にこやかに言うマリさん。

【友達なんて作るものじゃないさ。自然に出来ているから】
【あんたは作ったんじゃあなくて作られたんでしょうが?】
【意味がわからない】

 シンは呆れたように言う。
 でもシンは口ではそう言っていても一緒にいてくれる。
 それだけでも友達なのかと思ったけれども、マリさんは、

【友達と感じるのは人それぞれだし、形が決まっているわけではないから】

 そう言ってくれた。
 きっと私は知らないうちに三人も友達が出来ていたんだ。
 私から離れていった友達とはまた違った友達であることには変わりは無かった。

【友達なんて簡単にできて簡単に壊れるものだけど、そこから学ぶものなんていくらでもあるからこそ友達を求めるものよ】
【友達なんて多くいすぎてもウザいだけだけどね】
【だ?か?ら?、それはあんただけ】
【ふん】

 こうやって口喧嘩(?)をしているシンとリシェルさんも友達になっていくのだと思うと、何だかくすぐったく思えた。

【さあて、さっさと行くわよ】
【また古城?】
【あんたがしっかりしていれば深淵の騎士の一匹や二匹どうったことないわよ】
【がんばって、騎士さん】

 リシェルさんとマリさんにそう言われながらもシンは【仕方ない】といって笑っている。

【ほら、ユーリも行くわよ。さっさと転職したいって言わせてあげるから覚悟しておきなさい】
【お手柔らかにお願いします】

 きっと今、私は笑っているのだろう。
 だから私は笑う。
スポンサーサイト
2?2 想い
 友達が私の元に帰ってくることはなかった。
 同じゲーム内なのにサーバーを私に知らすことなく変えていたことを偶然知った私はショックを受けたが、友達を責めることはしなかった。
 しても仕方ないこと。
 自分はその程度の関係にしか思われていなかったのだと諦めがついていた。
 でも、約束を頑なに守っているのはきっとどこかで戻ってきてくれるなんていう甘い考えがあった。

【ユーリ?】
【え?】

 考え事をしていた私に声をかけてきたのはシンだった。
 このところ毎日のように一緒にいさせてくれる知り合い。
 私よりも年下なのに落ち着いていてよく話を聞いてくれていた。

【珍しく考え事?】
【あ、いえ・・・・・・・・・・・・】

 彼には関係のないのことなのだから言うわけにはいかない。
 一緒にいてくれるだけで十分だった。
 あまり自分から話してはこないけれど、妙な安心感を私に与えてくれていた。

【疲れたのならば少し休憩する?】

 心配そうに声をかけてくれたのはハンターのリシェルさん。

【無理はよくないですよ】

 そう言いながらブドウジュースを渡してくれるプリーストのマリさん。
 三人とも今の私のとって大切な仲間だった。
 効率重視の狩りではなく楽しむことをメインにしているため、居心地がすごくよかった。
 あまり自分から話をしなかったシンもよく話すようになって、よくリシェルさんと口げんかをしている。

 もう私は一人ではないんだ。
 過去との決別はまだできないけれども今はこのままでいたい。

【ユーリもなんか言ってあげなよ】
【あのな、そういうことを言う?普通】

 何を私が言うのかわからなかったがおかしく思えてつい笑ってしまった。
 おかしくておかしくて今まで一人で考えていたことが馬鹿らしく思えてしまった。

 過去はもう変えることはできないけれども私にはまだ今と未来があるのだと、この四人で進んで行けるところまでいってみたい。
 それが私の今の想いだった。
2?1 孤独からの解放
 【戻ってくるから待っていて】
 
 その言葉はきっと偽りのことだと自分でもわかっていた。
 一年という長い時間、どこかで期待を持っていたのかもしれない。
 でも現実は私の予想通りだった。
 それでも交わされた約束を私から破ることはしたくなかった。
 たとえ、相手がその約束を忘れてしまっていても私が覚えている限りまだ生きているのだから。

 事故で両足の歩く機能を失ってしまった私にとってオンラインゲームがたった一つの世界だった。
 毎日のようにINをして、何をすることなくただ現実世界とは違う世界の中で静かに存在をしていた。

 約束を交わして一年、私は今日もまた一人で彷徨っていた。
 人から見れば哀れな孤独者なのかもしれない。
 頭のどこかで何かを守る理性もいつしか味方にはなってくれなくなった。

 そんなとき、私は出逢った。
 いつも一人でいる騎士を。
 そして一目で感じた。

(この人も同じだ)

 同じ事情ではないけれども何処か似ている。
 自分の勝手な思い込みかもしれない。
 でも、少しでも分かち合えれるのならば話をしたい。

 何度も声をかけようとしたけれども、最後の勇気が出てこない。
 約束が足かせになってしまっているかもしれない。
 
(この人は私を一人にしないでくれるかな・・・・・・・・・・・・)

 もう一人で何かを待つことに苦しみしか感じなくなっていた私にとってその騎士を利用しようとしていると思うと胸が痛む。
 それでも、声をかけたいと思ったのは私の弱さかもしれない。

 何度目かの一方的な再会を果たして私は勇気を出した。

【こんにちわ】

 その瞬間、私の孤独だった心は変化を始めた瞬間だとはこのときの私は気づきもしなかった。
1?10 仲間
 何度かリシェル達とPTを組んでいくといつのまにかそれが当たり前のようになっていた。
 PTだけあって今まで二人では無理だったダンジョンにもいけるようになり、狩り自体は順調にこなしていく。

【これから飲みにいくわよ】

 狩りから戻ってリシェルがまず第一声。
 リアルで飲みに良くのだと思っている、

【ゲーム内で飲みに行くに決まっているじゃあない】

 と、平然と言い放った。
 ゲーム内でどうやって飲みに行くのか、僕とユーリは顔を見合わせる。

【首都で一軒、酒場があるじゃあない。そこにいくのよ】
【どうやって飲むんだよ?】
【バカね?。本気で飲むとでも?】
【・・・・・・・・・・・・】

 時々、リシェルの言い方にムッとするがユーリやマリの手前、感情的になるのもどうかと思って我慢している。

【まぁとにかくついてきな】

 そう言って一人でさっさと酒場に向かう。

【すいませんね】

 申し訳なさそうにマリが謝ってくる。
 人の良いマリに対してボクは悪い印象はない。
 むしろ、リシェルに振り回されていると思うと同情もしたくなるほどだ。

【ああいう性格なの?】
【昔はもう少し大人しかったんですけど、人間ですからね】

 そう言って彼女のことを温かく(?)見守っているマリは大人だと思った。

【ほら、なにしてるの。さっさと来なさい】

 ボク達はなんだかといった感じでリシェルの後を追って酒場に向かった。

 中は意外にも空席が目立っていた。
 それもそうだ。
 ゲームなのだから溜まり場とかにするぐらいでほとんど用のない場所なのだから人がいないのが普通だ。

【ほら席に座る】

 リシェル本人はやたらと酒場を楽しんでいるように見える。

【さて、今更だけどもう一度自己紹介しましょう】
【本当に今更だね】
【いいじゃあない。こうして見ず知らずの他人同士が同じ空間でいるんだからせめて名前ぐらいは知っておかないとね】
【そんなの見えているからしなくてもいいんじゃあないの?】
【わかってないな】

 リシェルはため息を漏らす。
 何かボクが間違ったことを言ったのだろうかとユーリやマリを見る。
 二人とも困った笑顔を浮かべて答えてはくれない。

【あんたね。人と接する時に大事なのは何だと思う?】
【そりゃあ・・・・・・・・・・・・】

 答えが出てこない。
 それもそうだ。
 現実世界でのボクは誰とも仲良くもないし他人と接することもほとんどない。
 だから何が大事なのかなんてわからない。

【まずは挨拶。そして次に自己紹介。そうしたらそこから話が始まるわけ。OK?】
【そうなんだ】
【プレートを見てこういう名前なんだってわかっても実際に話をしなければそれこそ知っても無意味になるでしょう?】
【まあね】
【そういうのじゃあコミュニケーションなんて取れるわけがないじゃあない。だからなの】

 たぶんリシェルの言っていることは間違いではないだろう。
 ボクがユーリと出逢った頃を思い出すと、彼女の言うとおりだと思う。

【わかった】

 そう言うとリシェルだけではなくユーリやマリも嬉しそうに頷いていた。

【それじゃあ仲間同士、自己紹介から始めましょう】

 ボクたちはお互いに名前と手短なことを話し合った。
1?9 臨時PT
【そっちいきました】
【支援は任せて】
【やばいSP切れる】

 今まで体験したことの無いほどPTというものは大変なものだ。
 一人や二人で動くより周りを見ることをしなければ危ないことに何度もあった。
 一段落して安全圏で休んでいると、女ハンターの『リシェル』が声をかけてきた。

【あんた、いつもソロをしていた騎士さんだろう?】
【そうだけどそれがなに?】

 ユーリと出会う前の自分を知っているような口調だ。

【オンラインでソロするなんて酔狂な奴だなって思ってたんだけど、いつの間にこんなかわいい彼女と一緒なのかなあって思ってね】
【彼女?】

 何のことを言っているんだ?
 ユーリの方を見るとプリーストに色々と支援のアドバイスを受けている。

【彼女じゃあない】
【そうなの?でも見ていたらあんたを優先的に支援しているからマリが不思議そうにしていたよ?】

 『マリ』というのは男プリーストで名前からすればリアルでは女ではないかと思った。
 もっともここではリアルなんて関係はないのだから無用な詮索なんかしないほうがいい。

【アコのままで70超えているのだから普通はPTでもお荷物にしかならないのにすごく頑張っているわね】
【別にボクたちは効率を求める狩りをしているわけじゃあないさ」

 ユーリと組んでからソロのときよりも経験値の稼ぎは悪い。
 だが、それが気に入らないわけでもなんでもない。
 こういう楽しみ方もあるものだと意外な発見に驚いているぐらいだ。

【まぁうちらものんびり派だから丁度良いんだけどね。マリなんか後輩が出来て嬉しそうだし】

 優しそうに教える姿を見ていると、ボクなんかといていいのだろうかと思ってしまう。
 戦闘職と支援職ならば考え方も育て方も違う。
 当たり前のことなのにどこかで苛つく自分がいた。

【まぁあれだわ。うちらでよければいつでもOKだから】
【考えとく】

 あまり群れることが好きではないボクでも初PTの感想は悪いものではない。

【ほら敵がきた。みんな戦闘準備】

 見ればどこからか現れた敵がこちらに向かってきた。
 そして再び戦いが始まった。




上記広告は1ヶ月以上更新のないブログに表示されています。新しい記事を書くことで広告を消せます。